わたり日記

日々思ったことを気ままに綴っていきます。

「The Best Offer(鑑定士と顔のない依頼人)」を観て 

この前「The Best Offer(鑑定士と顔のない依頼人)」を観てみました。

この映画を観てみようと思ったきっかけは、趣味で書いている小説の参考(最後にどんでん返しがあるストーリーが観たかったから)なのですが、非常におもしろくて観終わったあとの余韻がすごすぎたので、感想をまとめたいと思いました。

 

詳しい映画の概要はこちらになります↓(※映画のネタバレがあるのでご注意を)

ja.wikipedia.org

 

この映画を一言でまとめるなら「美術鑑定士として名高いヴァージル(年老いた男性)が、永年愛していたものを偽りの”愛”によって奪われるお話」です。(あくまで個人の主観としてですが)

 

お話は、美術鑑定士のヴァージルの許に鑑定の依頼の電話がかかってきて、でも依頼人は一切顔を見せず……というところからストーリーが展開していきます。

永年女性に対する苦手意識から、けれど自分好みの女性の絵画を密かに収集し孤独を癒していたヴァージル。

しかし依頼人若い女性、クレアは広い場所、人と関わることに極度の恐怖を抱く病気の持ち主。

気になったヴァージルはついクレアの容姿を盗み見てしまい、徐々に惹かれていきます。

 

そこからはお互い衝突しながらも、ヴァージルとクレアが愛し合っていく……というよくあるラブストーリーなのかと思いきや、ラスト終盤でヴァージルは悲しい裏切りにあってしまいます。

 

ヴァージルは、永年集めていた女性の肖像画を全て奪われてしまうのです。

 

ここから、ストーリーの全てのからくりが明らかになっていって、どこからヴァージルが騙されていたのか? どこまでが嘘で真実だったのか? と鳥肌の立つ伏線回収が待っています。

 

ヴァージルが奪われてしまった肖像画は彼が「生涯をかけて集めてきたもの」でした。彼にとって、ほんとうに永い時をかけて、ひとつ、またひとつと収集してきたもの。

ラストでヴァージルは、クレアが話していた思い出のレストランで彼女をひとり待ち続けます。

そのレストランの内装は、時計仕掛けの歯車が軋み、絶えず回り続けていました。

 

ヴァージルが愛してきた女性たちの肖像画、そして、愛を教えてくれた依頼人のクレア。

ヴァージルの、これまでの時間。もう二度と、取り戻すことのできない彼の時間の喪失が一気に押し寄せてきて、ずっと余韻が止まない作品でした。

 

映画のなかで、映画のようなストーリーに仕立てられていたところがとてもエモーショナルで、このお話を考えられた脚本の方、ほんとにすごいな……ともうそれしか言えません。

 

「偽りのなかにも真実はある」という台詞が出てくるのですが、観終わった後いろいろと考えさせられました。(え、じゃあこの場面は真実なの? 嘘なの? っていう)

 

ざっくりと感想を書いてみましたが、他の方の考察は読まず、個人の主観でまとめてみました。

 

スカッとする粋で騙されるストーリーではなく、自分が信じて、愛していたもの(時間)を奪われるって、こういうことなのかな……と個人的にとても忘れられない映画になりました。

 

つたない文章でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございました!